十種神宝 中学国語の基礎・基本

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昔語り 7……世間を広げて自分を変える

今はインターネットがあたり前、インターネットにつながっていないパソコンはガラパゴス諸島のイグアナくらい珍しいと思います。
総務省の調べによると2015年末でインターネットの普及率は83.0%だそうです。

しかし東京ディズニーランドが開園した昭和58(1983)年頃には、そんなものはありませんでした。
当時はパソコン通信といって、電話回線を使ってパソコンをホストコンピュータに接続し情報をやりとりするサービスがありました。

これはインターネットと同じように、掲示板やチャットで会話をしたり、メールを送受信したりすることができました。
ただ文字のやりとししかできず、その都度電話料金がかかりました。
また通信速度が遅く、緞帳が上り下りするように画面がスクロールしました。

5年生の社会科で「あたたかい地方の人々のくらし」の学習をしていた時のことです。
「沖縄の畑の半分がさとうきび畑」という教科書に子ども達は反応しました。
森山良子の『さとうきび畑』が流行する15年も前の話です。
さとうきびやその畑がどんなものか想像できなかったのです。

図書館の図鑑にも載っていました。
しかし私はどうしても本物のさとうきびを見せてやりたかったのです。

今ならネット通販で教材用に2mくらいの生のさとうきびを手に入れることができます。
しかし当時は、沖縄旅行でもしない限り生のさとうきびなど触れることができないものでした。
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私はパソコン通信で沖縄の先生につてを求め、沖縄からそのままの状態のさとうきびを送っていただけないかお願いしてみました。

3mほどもあるサトウキビが5~6本以上送られてきたのは冬の始まりの頃でした。
子ども達と梱包を開いたときの「おーっ」という驚きと歓声と共に、その時確かに沖縄の風が教室を吹き抜けたような気がしました。

子ども達はお礼の手紙を書き、自分たちが育てたソバ粉と地元でとれたリンゴ(りんご園を営む保護者の方が快く寄付してくださいました)をお礼に送りました。

沖縄の先生の話だと、箱を空けると教室中にリンゴの香りが広がり、大騒ぎになったそうでした。
今はどうか知りませんが、当時の沖縄ではりんごはとても高価な手に入りにくい果物で、日本ソバも話でしか聞いたことのないものなのだそうでした。

「適当に畑から抜いてきたお礼にこんなすごいものをいただいて逆に申し訳ない」とメールが来ました。
(こっちだって、送料以外はほとんどお金はかかっていないのですけどね……。まさに地域の違いですね。)

送っていただいたサトウキビは思い切り触りまくった後20㎝くらいに切ってみんなでかじりました。
土に付いてきたたくさんの小さな赤いアリが何日間も教室を徘徊していたことを覚えています。

昔と違って、今は学校の仕事はとても忙しく、放課後はおろか職員室内の会話もままならないのが実態です。
ノミュニケーションなどしている時代ではない、というのが本音でしょう。

しかし世間を広げる方法は自分の学校の中ばかりではありません。

ネットには教員向けのサイトがたくさんあります。

また通信教育で小学校の免許をとり小学校を経験してみることもできます。

もっと簡単に中高交流で高校へ行ってみるのもいいでしょうし、小中併設校や中高一貫校へ赴任するという手もあります。

今の自分の教え方から脱皮したければ大学院に研修に行くこともできますし、大学の附属学校に行くのもアリです。

沢山の人と触れ合い自分を変えていく方法は、昔以上にたくさんの選択肢があると思います。
要はやる気だと思います。

そしていかにその時間を確保するかが、現状の課題ですね。