十種神宝 中学国語の基礎・基本

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ウサギのように臆病であれ

例えば口数が少ない子がいるとします。

「無口で陰気」と評価しますか。それとも「落ち着いて考え深い」と評価しますか。
 (通知票の所見欄を書くなら後者が正解ですよ。)

目に見える一つの現象に対しては、必ず相反する評価が存在するのです。

同じように、教室でいつも本を読んでいる子がいたとします。
  • 「おとなしい性格だし、本が好きなのかな?」と考えますか?
  • それとも「なぜ、いつも本を読んでいるのかな。友達と上手くいっていないのかな?」と考えますか?
「それはその子によりにけりだ」という考えもあるかもしれません。
しかしあなたは、その子についてどれだけ知っていると言えますか。

「こうだ」と断定するためには、しっかり情報を収集・分析した上で結論を出さなくてはいけません。

では、最近、授業中にマイナスの発言をすることが増えた子がいたとします。
  • 「最近、調子に乗っているな。少し厳しくしないと……。」と考えますか。
  • それとも「周囲に強気な姿勢を見せようとしているだけかも。最近の友達関係を探ってみようかな?」と考えますか?
とっさに判断が迫られる事例ですね。
当然しっかり情報を収集・分析してから結論を出す暇などありません。
しかし、そのままスルーするという選択肢はないと思います。

血の気の多い人は前者を選んでしまいます。気をつけましょう。

もし生徒に「誰にも言わないで」と言われ、いじめられていることを告白されたら……。
  • 約束を守りますか?
  • 誰かにそれを話しますか?
……これは、その場では「約束を守る」と生徒に言います……が、「誰かにそれを話す」が正解です。
その子が恐れているのは自分の秘密が知らされることではなく、それを知ったときの周りの反応です。

例え「約束を破った」とその子になじられたとしても、教師の役割は家庭と学校とが協力してその子の状況を改善していくことです。
学校の対応として、保護者には「子どものいるところでは、過度に反応せずに、子どもの心の内を理解してほしい」と伝えることを視野に入れ、信頼できる大人に繋ぐ……
それが打ち明けられた教師のできることです。

情報を収集し、分析して、きちんと対応していくことは、時間的な余裕さえあれば誰にでもできることです。
しかし日常の業務の中で、私たちは予測不可能なことに対し、条件反射的に対応していかなくてはいけません。

常に最悪の事態を考え、臆病であることはあなたの身を守るという意味でも正しいことです。
そして同時に、行動を起こさないことによって最悪の事態を招くことが多いというのも事実です。

予期しなかった事態に当意即妙に反応すること。

これが必要なのは生徒指導ばかりではありません。
むしろ教科指導の方が求められる能力だと思います。

そしてこれがきちんとできるようになって、初めて「プロ」の教師になるのだと思います。
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©さいとうプロ
プロの中のプロ……ゴルゴ13*1)は、超A級スナイパー(狙撃手)です。
彼の凄いところは、どんな場面でも常に第三者の目で自分と他人を見つめ、一切の感情や価値観、環境に左右されずに仕事をこなすことです。

彼は、自分を「ウサギのように臆病」と言い、狙撃の位置決めや通常の移動の際などにも常に敵の存在を仮定し、最も安全なルートを考えます。
そして想定の脱出ルートが使用できなくとも常に予備も検討し、いかなる場合でも、直ちに対応策を実行します。

「生徒を守る」という仕事は、とりもなおさず「自分を守る」ことでもあります。
生徒指導の場面に限らず、教科指導にあっても「ウサギのように臆病」で第三者の目で自分と他人を見つめる目を常にもちたいものです。

  *1) ゴルゴ13
 東西の冷戦当時から現在まで第一線で活躍していますから、終戦直後から歳をとらないサ●エさん一家と同様に、ゲ●●の●太郎の血をひいているに違いありません。彼は、日本人とも日系ロシア人とも言われていますが、作家マッジ・ペンロースによれば、その生い立ちは………ズキュゥゥゥゥン…………