十種神宝 中学国語の基礎・基本

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定期テストは何のためにやるの?……定期テストの目的

 「定期テストはいやだ~」

 そう思うのは、生徒だけではありません。
 先生たちも同じ思いなのです。

 では、定期テストって、なぜやらなきゃいけないんでしょう。
ダウンロード (6)
 例えば、デートでスパゲティ・ナポリタンを食べたとします。

 ひょっとして口の周りにケチャップがついていたら困るな……。
 そんな時、鏡を見たくなりますよね。
 (だから、デートでナポリタンやカレーを食べるのはNGなんだよ……。)

 「自分の姿はどうか、正確に知りたい」……これはあたりまえの気持ちです。

 定期テストも同じです。
 定期テスト「ある面から見た」生徒の学力に関する正確な情報を得るために行います。

 定期テストには二つの意味があります。

 まず「教育と評価の一体化」です。
 これは先生たちが「次の指導に活かす」ことを目的としています。

 また「成績をつける」という側面も無視できません。
 先生たちは「成績をつける」ことを目的として定期テストをおこなっているのです。

 先生たちにとって定期テストは手段」なのです。

 生徒にとってもはどうでしょうか。

 先生たちと同じです。
 生徒にとって「テストを受ける」ことが目的ではなく
 「良い点をとる」ことが目的となります。

1 成績をつける、ということ

 生徒は「良い点」をとりたいと思っています。

 これは、保護者のみなさんや教師も同じ思いなのです。

 しかし先生たちにとっては、テストに至る授業をすることが仕事です。
 そしてその仕事には、テストを作成し採点することが含まれます。

 つまり先生たちは、テストの点数を自由自在にコントロールできる立場にあります。

 「良い授業の結果、生徒が良い点数をとる」のならいいのですが、
 「良い点をとらせるのが良い授業である」と考えるのは、
 “テストのための授業”を行うということになり、本末転倒になります。

 例えば、簡単なテストを作れば平均点は上がります。

 また、自分の教えたことだけを出題すれば自分のクラスだけは良い成績をおさめます。
 あらかじめ「これはテストにでるぞ!」と予告しても同じことです。

 しかしこれをやったら不正行為を働いたことになり、
 他の先生からフルボッコにされます。

 なぜなら、定期テストの目的、つまり生徒の情報を正しく得ることができなくなるからです。

 (更に一歩間違えば教員の不正行為としてマスコミの格好のネタとなり、その先生は処分、校長は左遷か早期退職という未来が待っています。実話です。)

 「良い点をとる」の最終目標は入試です。

 先生たちは、生徒や保護者からの信頼を得るために、入試である程度の点をとらせなくてはいけません。
 しかし高校や大学にとって、入試は「入学者数をコントロールする(不合格者を出す)」という別の目的をもっています。
 これは「定員」があるためです。

 ですから先生たちは、
 入試の問題を毎年分析し、傾向と対策を割り出し、特に3年生にはそれに対応した指導をしていかなくてはいけません。

 そして何より、3年生の定期テストの成績は調査書の5評と直結しています。

 ですから一層、公平・公正に良い点をとらせる指導をしていかなくてはいけないのです。

2 次の指導に生かす、ということ

 「次の指導に生かす」なんて言っても、
 それはきれいごとで「建前はわかるけど…」というのが率直な感想だと思います。

 例えば理科で「“地学”で悪かったけど、次の“化学”にどう活かせばいいの?」という疑問は当然です。

 しかし、先生たちにとって、生徒に身につけさせたいことは「内容」ではなく「形式」なのです。

 例えば1年生の説明的文章で「ダイコンは大きな根?」という単元をやります。

 白いダイコンは上の方が茎で下の方が根だ。そして上の方は辛くなく下の方が辛い、という「内容」です。

 しかしこれは理科の学習内容でしょう。
 国語科で教えなくてはならないことは、説明的文章に接したときに、どこに注意して内容を読み取り自分の考えをまとめあげればいいのか、という振る舞い(「形式」)を身につけさせたいのです。

 どの教科も、
ダウンロード (7)型(左)と形
 結果としての”形”ではなく、そのような“形”を自分の頭の中に創り上げるための“型”、つまり思考のパターンを形成すること

 これが、今求められている「学力」なのです。

 定期テストという出口に向かって行う準備(=学習)をより効果的なものにし、
 生徒に確かな“型”を身につけさせるために、
 定期テストを行う

 これは「テストのための授業」とは少し違うと思います。

 そして次の定期テストで「良い点」がとれるように、
 「型」が身につくような指導を工夫しているのです。