ここから悪は通さない 4…いじめを予防する
いじめを予防する
昔は「いじめっ子」「いじめられっ子」というのは固定されていたように感じます。
しかし最近のいじめは、加害者も被害者も固定されず時と場の状況によって次々と変化する、と言われています。
例えば、今まで加害者だった生徒が次の日には被害者に変わり、被害者だった生徒が今度は違う生徒に対しての加害者となる
……誰もが加害者になる可能性も、被害者になる可能性もあるわけです。
こんな集団の中では、誰もが疑心暗鬼になり、
クラス目標によくある「仲の良いクラス」とか「クラスの絆」などは夢のまた夢で、
うまくいっているように見えても薄っぺらい人間関係しかそこにはありません。
いじめには促進要因(勉強や人間関係にまつわる不快感)と抑制要因(良好な人間関係)があります。
それならば、いじめを防止するには促進要因を排除し、抑制要因を強化してやればよいことになります。
以下に2005年2月に行われた「いじめ等の問題に関する国際シンポジウム」(2005.2)におけるいじめ防止の方策を記します。
それならば、いじめを防止するには促進要因を排除し、抑制要因を強化してやればよいことになります。
以下に2005年2月に行われた「いじめ等の問題に関する国際シンポジウム」(2005.2)におけるいじめ防止の方策を記します。
- いじめの機会を減らす
いじめは、見えにくく誰もが入りやすい場所で、そのチャンスがあったときに起こります。
教師の目の届かない場所・時間を少しでも少なくすることが大切です。
教師の目の届かない場所・時間を少しでも少なくすることが大切です。
例えば休み時間や給食の時間、トイレ・昇降口・階段踊り場・特別教室周辺はどうでしょうか。
特別教室へ移動する時に行われることもあります。
また授業中のメモ回し等は、授業中教師が黒板を向いている間や机間指導の時に行われることがあります。
休み時間等の巡視活動は「なんとなく学校全体の雰囲気がおかしいな」と思ったときは全校体制で行う必要があるかもしれません。
そこまでいかない場合は、学年体制で十分でしょう。学年会などで意見を出してみましょう。
「いつも先生がトイレを見に来る」というのは少し…ということもあります。
先生たちは積極的に生徒用のところで足すようにお願いしましょう。
授業中に生徒の方を見ないでいるというのは、生徒指導上ではなく教科指導上でもアウトです。
教科書を見ながらの授業、板書をしながら話をする授業などは問題外です。
授業中に机に落書きをしたり、メモ回しをしたりする生徒に気づかないような授業は、そもそも授業として成立していないものと心得ましょう。
- いじめを起こさない学級づくり
ここでいう学級とは、クラスルームだけでなく教科の授業のことも指します。
生徒は教科によって態度を変えています。
生徒は相手によって態度を変えていること、自分の授業はどうなのかを強く認識しましょう。
生徒は教科によって態度を変えています。
生徒は相手によって態度を変えていること、自分の授業はどうなのかを強く認識しましょう。
生徒が求めているのは、居心地がいい学級であり、授業の内容がわかることです。
その基本となるのは、ルールが守られていることとリレーション(関わり合い、つながり)があることです。
その基本となるのは、ルールが守られていることとリレーション(関わり合い、つながり)があることです。
からかいや冷やかし、差別的な言動は、授業中に垣間見ることがあります。
その瞬間、その行為は許さないという姿勢を教科担任が全体に示す必要があります。
「ルールは教師によって守られている」ことを全体に知らしめることが大切なのです。
リレーションとは通じ合いです。
一人ひとりに対して言葉をかける、一人ひとりのよいところを認めほめる、異なった考え・意見も否定せず、よく話、よく聞くことです。
机間指導や少人数指導がきちんとなされているか、話し合い学習がきちんと行われているか、授業者の姿勢が問われています。
一人ひとりに対して言葉をかける、一人ひとりのよいところを認めほめる、異なった考え・意見も否定せず、よく話、よく聞くことです。
机間指導や少人数指導がきちんとなされているか、話し合い学習がきちんと行われているか、授業者の姿勢が問われています。
そして「わかった」「できた」という達成感・成就感が味わえる授業をすることは、私たち全員の責任です。
そのために、お互いの授業(学級)を常に公開し、学び合うというオープンな体制を作っていくことが必要なのではないでしょうか。
参考文献 伊澤成男「いじめを防ぐ組織作り」(『児童心理 いじめの予防と早期解決』H18金子書房)
いじめのない学級
猿田恵一は「いじめを許さない・作らない教師」(『児童心理 いじめの予防と早期解決』H18金子書房)の中で、いじめがないとされる学級を調査し、その傾向を次のようにまとめています。
子どもたちに共通して言えること
猿田恵一は「いじめを許さない・作らない教師」(『児童心理 いじめの予防と早期解決』H18金子書房)の中で、いじめがないとされる学級を調査し、その傾向を次のようにまとめています。
子どもたちに共通して言えること
- 子どもらしく素直で明るい、すっきりとした表情をしている。
- 生活や授業の中で、どんな発言や行動が快く価値あることなのかを知っている。
- それらの結果として教師と児童、児童相互の関係が温かく適応的である。
学級として特徴的なこと
- 子どもと教師の間に信頼関係がある。
- どの子にも学級(教室)での活躍場面がある。
- 楽しいと感じる友人との交流がある。
- どの子もわかる授業が展開されている。
- 担任の方針や考え方が理解され、教師と保護者の連携した取り組みが行われている。
このような学級にするために必要なこと
- 教師自身が、どのような学級(教室)を目指すのか、どのような子どもの姿を求め育てていくのかを具体的にイメージする。その上で子どもの実態を正確にとらえ、どう指導していくのかを綿密に計画する。更にそれを動的に捉え、改善し続ける。その手段として、学級(教室)経営計画の自己評価・見直し等が有効である。(PDCAだね…。)
- 教師が「できなければダメ」等の脅しに近い言葉、「こんなこともわからないなんて」等の差別的な言葉や態度を指導の方法として多用していないだろうか。脅しや差別ではなく、より高い価値あることや正しいことに信念を持ち、語りたい。
- 授業の中では子どもの努力や工夫、学ぼうとする真摯な態度や学級としての高まりを捉え評価する。(生徒を褒めることだよ。成績に反映させろとは言っていないよ。)子ども自身が「がんばった、工夫してみた」という満足感を抱いているときにタイムリーに行うと効果的である。
- 子どもが他の子どもを茶化したり差別的な言葉を発したりしたときは、授業を進めながらも、視線を向け、表情で叱る、指さしなどの態度で叱る等の指導技術が大切である。
- 「がんばればほめてもらえる」「先生はみんなの良さをいつも見つけてくれる」「このクラスにいて楽しい」「この友達の中で居心地が良い」という風土を、子ども自らが維持し、高めていけるように仕向ける。
あたりまえのことですが、毎日の授業はどうでしょうか。
学校生活の大半は授業に費やされています。いじめ撲滅のためにも授業改善が必要なのです。
学校生活の大半は授業に費やされています。いじめ撲滅のためにも授業改善が必要なのです。