十種神宝 中学国語の基礎・基本

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リーダーはハイリスクローリターン

「くっ……。私に勝ったと思っていい気になるなよ。私は四天王の中で最弱の存在。そして我ら四天王の上には三人衆が、さらにその上には首領様がいらっしゃる。貴様の未来は地獄への一本道だ!ふははははは……。(ドッカ~ン)」
Precure_Labyrinth
管理国家ラビリンス ©東映動画

スーパー戦隊プリキュアのシリーズでは、かつてのショッカーのような悪の秘密組織が登場します。(仮面ライダーシリーズでは出てこなくなりました……泣)

悪の秘密組織はなぜ強いのでしょう。それは「組織」だからです。
首領が最前線で戦うのは最終回。それ以前は手下の怪人がまず戦い、次に大幹部が、そして最後に首領が登場するのです。
これによって敵に厚みがうまれ、物語に深みが増します。

悪の秘密組織の首領ではありませんが、私たちはまず、授業ではP機能(目標達成機能)をしっかり持った首領=カーストの最上位者であるべきだと思います。
首領は配下の者に比べ隔絶した実力を持っていなくてはいけません。そのために私たちは、綿密な教材研究とその実践によって授業で「先生はやっぱり先生なんだ」と生徒に認めさせることが必須です。
なぜ授業かというと、最も多く生徒と接する時間は授業だからです。

授業中に教師の指示が徹底しないとか、授業をかき回す生徒を抑えることができないといったM機能(集団維持機能)については、生徒の中のカースト上位者が行った方が効果が高いでしょう。
いざとなったら首領が登場して有無を言わさず従えることもできます。
比喩としては不適切かもしれませんが、このような大幹部の役割を演ずることができる生徒が「クラスのリーダー」です。

今、ちょうど生徒会役員を選出する頃ですね。この生徒会の委員長の選出について考えてみましょう。

例えば、ただ漫然と「いい子」と目されるような生徒を生徒会の委員長にしても、うまくいかないことはご存じだと思います。
「人望あるサブリーダー」や「いいヤツ」キャラでは、行事で委員会をまとめリーダーシップを発揮しなければならない立場に追い込まれ、学校システムに対応した動きをしようとしたとき、「残虐なリーダー」の抵抗とそれに同調する「お調子者キャラ」たちの圧力に屈し、自分の居場所を失ってしまう可能性が高いのです。

かと言ってカースト第2位の「残虐なリーダー」を指名してしまうと、今度は私たちは「残虐なリーダー」との関係を維持しながら運営しなければならなくなります。
いくら教師の理念を理解してはいても、納得しそれに従うとは限らないからです。
もし「残虐なリーダー」のコントロールに失敗すると、授業や学級は崩壊へと向かっていくでしょう。

では、どうしたらよいのでしょう。
まず、生徒の立場に立って考えてみましょう。

そもそも生徒にとって「リーダーであること」はボランティアです。
そうは思っていない生徒もいるかも知れませんが、ほとんどの生徒の場合、その教師によほどカリスマ性がない限り、日常の雑務……態度の悪い生徒を注意するとか、日常の当番活動をしっかりやるとか、言ってみれば「先生のお手伝い係」をやりたがる生徒は稀でしょう。

何か代償があるわけではありません。
しかも、そのミッションに失敗するとクラスの中で浮いてしまって、一歩間違えばいじめの対象にもなりかねない

……生徒にとって、リーダーを演ずることはハイリスクローリターンの仕事なのです。

これは生徒ばかりを責めることはできません。大人だって同じです。
私たちだって、グループのまとめ役として振る舞わなければならない○○主任とかは
「それも給料のうち」「校長先生などの上位者に命令されたから」やっているわけで、やりたくてやっているわけではありません。
報酬もなく命令もされるわけではないPTAや町内会の役員選出なんかはもっとはっきりしていますね。

生徒も私たちとまったく同じなのです。