十種神宝 中学国語の基礎・基本

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君の信ずるもののために戦え……「新卒教師のための十ヶ条」を読んで

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©松本零士/東映動画

    ①  挨拶は自分からせよ
    ②  わからない時には自分から教えてもらえ
    ③  実践ノートを必ず書け(授業記録を残せ)
    ④  教室設計せよ(教室環境を整えよ)
    ⑤  学級を設計せよ
    ⑥  授業の計画を立てよ(指導案を書け)
    ⑦  責任は自分のこととして考えよ
    ⑧  本を読め
    ⑨  他人より10%程度努力をせよ
    ⑩  研究授業は進んでやれ(括弧内は筆者補足)
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 これは、向山洋一が提唱した「新卒教師のための十ヶ条」です。

 小学校の教師であった向山は、10分間で跳び箱を全員に跳ばせる方法を開発し発表しました。
 斎藤喜博のパクリという説もあります)

 優れた教師が授業の技術を自分だけの「名人芸」にするのではなく、そして困っている先生が一人だけで苦しむのではなく、先生方がそれぞれ持っている教育技術・方法を情報交換し、全国の先生の共有財産にしていくことが必要だ。向山はそう訴えました。

 そして「授業・教育にすぐに役立つ教育技術・指導法を開発し、集め、互いに追試し、検討しあって自らの授業技術を高め、そのような技術や方法を全国の教師の共有財産にしよう」という趣旨で
 1983年に「教育技術の法則化運動」(現TOSS)を設立しました。

 みなさんが生まれるずっと前の話ですね。

 向山が掲げた「教育技術の法則化運動」は以下の4つの原則を掲げていました。
  • 教育技術はさまざまである。出来るだけ多くの方法を取り上げる。(多様性の原則)
  • 完成された教育技術は存在しない。常に検討・修正の対象とされる。(連続性の原則)
  • 主張は教材・発問・指示・留意点・結果を明示した記録を根拠とする。(実証性の原則)
  • 多くの技術から,自分の学級に適した方法を選択するのは教師自身である。(主体性の原則)
   この運動は「五色百人一首」等の優れた教材を開発し、
 「追試」(研究授業でやったことを他のクラスでも再現可能か確かめることですよ……)モンスターペアレンツ」「○○スキル」等の言葉を広めました。

 一方「江戸しぐさ」「水からの伝言」「EM菌」といった疑似科学と考えられる内容も積極的に授業に取り入れており、批判されました。

 みなさん、この「法則化運動」設立の趣旨や4つの原則を読んで、どういう感想を持ちますか。

 「法則化運動」の目指したものは、言葉をかえれば「こうすればこうなる」といった教師のノウハウの寄せ集めです。

 ノウハウを集めることは確かに大切でしょう。
 しかし「なぜこうなるのか」「こうなることにどんな意味があるのか」というしっかりした思想があってこそノウハウが生きるのだと思います。

 「法則化運動」にはこの問いかけが決定的に欠落していました。
 思想なき「ハウツー」……これが「法則化運動」だったと私は思っています。

 その後「法則化運動(TOSS)」は一気に向山教とでも言うような宗教色を帯びていきます。
 「ハウツー」に堕ちた教育運動が宗教団体のような傾向を帯びていくのは、「法則化運動」ばかりではありません。……感想には個人差があります。


 では、先の「新卒教師のための十ヶ条」をもう一度見てみましょう。
 それぞれの項目は「なぜなのか」「その結果何が期待できるのか」を冷静に分析してみましょう。

 そして、考えた結果が納得できないものだったとしたら、誰に言われようと、実践する必要などないと思います。

 もし「必要だ」と思ったのなら、信じるもののために、たとえ誰がやるなと言っても、やりとげましょう。


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