十種神宝 中学国語の基礎・基本

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昔語り 4……楽しくなければ授業ではない

新卒当初は、みなさんと違ってなかなかうまく授業ができませんでした。
もともと中学校が主免なので、小学校の教材研究なんかまともにやったこともなかったのです。

まず困ったのは算数です。

当時、『Dr.スランプ アラレちゃん』や、女の子には『キャンディ キャンディ』男の子には『機動戦士ガンダム』(言うまでもなくファーストガンダムですよ……。)がとても人気でした。
そこで「アラレちゃんはガムを21まい、がっちゃんは7まい持っています。アラレちゃんの持っているガムのまい数は、がっちゃんの何倍ですか。」というように問題を書き換え似顔絵付きの説明図をつけたプリントを作りました。
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ガリ版で作るので最初は手間取りましたが、そのうち慣れました。
当時は著作権などあまりうるさくなかったのです。

そのうち子どもの似顔絵をその場で板書して問題にすることも覚えました。

学校中から牛乳瓶の蓋を学校中から集め、貼り合わせてプレスし、金の塗料をつけて金貨にして文章問題を考えるのに使わせたり、大きな数で一万枚の牛乳瓶の蓋を学校中の廊下につなげてはったり、一万円札の大きさの新聞紙を切って一億円分作りアタッシュケースに入れて教室で見せたこともしました。

「かくれた数はいくつ」や分数、追いかけ算、関数のグラフ等で、プログラムを組みパソコンを使って授業をしたのは次の学校に異動してからです。(教頭先生が怖かった……。)

社会の大量生産の学習では、トヨタの工場見学で簡単な自動車のプラモデルを大量にもらい部品毎にバラしたものを用意しました。
そして子ども達を二つのグループに分け、片方には最初から最後まで組み立てさせ、もう片方には流れ作業で組み立てさせて競争させました。
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また歴史の学習では縄文時代から大和朝廷成立までのシミュレーションゲームをしました。

シミュレーションゲームというと『信長の野望』のようなコンピューターゲームを思い浮かべますが、ボードゲームしかなかった時代です。

班を一つの部族とし各班に稲作がもたらされたところからゲームは始まります。
作付けの量を決め、それに応じた収穫量がサイコロによって決まります。
余剰分は保管でき食糧が尽きると部族は全滅します。
全滅しないように班で相談しながら進めますが、いざとなったら他の部族を侵略することもできます。
勝てば食糧を奪いその部族全員を奴隷(労働力)にできます。
戦闘は部族の人数比をもとにサイコロを振って勝敗を決めました。
複数の部族で結託する等の戦略は何でもありです。
更に大陸への朝貢が成功すると生産力や戦闘力が上昇します。

こんなルールを細かく考えてやらせたのです。
ゲームの終盤になると運の強い子がサイコロを振り、稲作を管理する子、武器を管理する子など役割分担ができました。
最後に女の子を中心としたグループと男の子を中心としたグループの対決となり、女の子グループが負けて号泣してしまって次の時間は授業になりませんでした。

国語では『たぬきの糸車』の劇を行うために糸車を博物館から借りてきてそれをもとに模型を作ったり、教室いっぱいの『くじらぐも』を作ったり、『スーホの白い馬』では馬頭琴を見たことのない子ども達のために、馬頭琴製作キットを取り寄せて白馬の骨や皮から作ったような色の馬頭琴を作ったりしたこともあります。
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「楽しくなければ授業ではない」というのが、当時の私の考えでした。
現在の私から考えると、助走をつけてグーで殴りつけるレベルの内容だったと思います。
学習指導要領はもちろん、教科や教材の本質をまったく無視した授業だからです。
しかし、子どものためにどこまで工夫することができるか、という点では弁解する余地があったと思います。

指導書どおりの授業は面白くありません。
それ以上に、そんな授業をやってもうまくいかないはずです。

是非みなさんには、本質に触れた(←ここ重要)授業のための工夫と努力を惜しまないでほしいと思います。