十種神宝 中学国語の基礎・基本

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生徒指導で忘れてはいけないこと……先生はウルトラマン

 「正義の味方」という言葉があります。
 『月光仮面』の原作者川内康範が、この主題歌の中で使ったのが最初だそうです。
DWwBKFvVAAAqzyP©川内康範/宣弘社
 「正義の味方」について氏は次のように述べています。
  
 月光仮面月光菩薩に由来しているんだけど、月光菩薩は本来、脇仏なんだよね。脇役で人を助ける。月光仮面もけっして主役じゃない。裏方なんだな。だから「正義の味方」なんだよ。けっして正義そのものではない。この世に真の正義があるとすれば、それは神か仏だよな。月光仮面は神でも仏でもない、まさに人間なんだよ。
  
 氏は、戦争の経験から「絶対の『正義』などありはしない」と考えました。世の中のどこかに正義があるのではなく、正義は一人一人の心の中にしかないという考えです。
 そして、私たちはその正義の心の味方になることしかできないのだ、ということだと思います。

 正義の心を、学習指導要領に示される「道徳性」に置き換えてもよいと思います。
 世の中に絶対的な道徳などないかもしれません。しかし、人間は誰もが「道徳性」を持っているのではないでしょうか。
 そして私たちにできることは、生徒の持っている「道徳性」の味方となり、悪に負けそうになった時に救いの手を差し伸べることができるだけだと思います。

 「正義の味方」は、必ず圧倒的な武力をもっています。
 月光仮面の拳銃、ウルトラマンスペシウム光線……時代が下るごとに、正義の味方の武器は強力なものに進化しているようです。
 正義を助け悪を滅ぼすには、どうしても圧倒的な強さが必要となるからなのでしょうか。
a473e262©円谷プロ
 今回の指導要領の改訂で、いじめや自殺問題への対応の充実がポイントとなりました。
 生活の中で生徒の差別的な言動を目撃したら……。

 差別的な言動をしている生徒の心の中の「正義」が負けているのです。
 (「正義」が弱くなったのか、「悪」が強くなったのか……これは相対的な問題だと思います。)
 「悪即斬」ではありませんが、速やかに悪を殲滅しなくては、差別されている側ばかりでなく、差別している側も不幸です。
 ためらわずに圧倒的な「力」で悪を滅ぼしましょう。(でも、体罰はダメ……絶対!
 それが「正義の味方」としての私たちの役目なのだと思います。

 そんな「正義の味方」も、いつかはいなくなる時が来ます。

 『ウルトラマン』の最終回では、ウルトラマンは宇宙恐竜ゼットンに敗れ、
 『ウルトラセブン』の最終回では、ボロボロになったセブンに帰還命令が下ります。

 ……「地球は自分たちの手で守らなければならない。」
 地球の防衛チームは、自分たちの手で怪獣を倒し、正義の味方は故郷へ帰るのです。

 テレビの「正義の味方」と同じように、私たちもいつかは生徒の目の前からいなくなる時がきます。
 あなたが今の生徒の前から消える異動の日までに、生徒一人一人が「正義の味方」に頼らずに悪に打ち勝つ力を身につけることこそが、あなたの役目なのではないでしょうか。


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