筆算の線、手書きダメ?……教師だったら、自分の頭で判断しよう。
先月の9月24日、西日本新聞の社会面に「筆算の線、手書きダメ?小5、160問『書き直し』」という記事が載りました。
その後ニュースやネットなどで取り上げられたので、ご存じの方も多いと思います。
その後ニュースやネットなどで取り上げられたので、ご存じの方も多いと思います。
きっかけは「なぜ筆算の横線を、全て定規で引く必要があるのでしょう」という福岡県の小学5年の親族からの投書です。
夏休みの宿題の割り算の筆算の計算問題を提出したところ、横線が手書きだったとして、160問、担任に「書き直し」を命じられたというものです。
小学校では、筆算の場合定規を使うように指導することもあります。
その担任の先生は、日ごろから定規を使うように指導していたのですが、
その子は今回、筆算の一部は「別にいいだろう」と自分で判断し、
手書きで線を引いたものを提出したのだそうです。
「筆算に定規を使う」というのは、いつ頃から始まったのかはよくわかりません。
授業の躾をまとめたノウハウ本を昔読んだような気がします。
長野県で有名な白文帳
この報道を見て思い出すのは「白文帳」です。
授業の躾をまとめたノウハウ本を昔読んだような気がします。
長野県で有名な白文帳
この報道を見て思い出すのは「白文帳」です。
白文帳というのは、長野県特有の漢字練習帳です。
2008年読売テレビ「秘密のケンミンSHOW」で紹介されて以来、全国で有名になりました。
他県ではまったく使われていないということで、
2008年読売テレビ「秘密のケンミンSHOW」で紹介されて以来、全国で有名になりました。
他県ではまったく使われていないということで、
- 『白文帳』で機械的に漢字の書き取りをやらせるのはいかがなものか
- 授業内容と密接に関連した計画的意図的な家庭学習に取り組ませる必要がある
これを受けて、ある中学校では白文帳を廃止し「授業内容と密接に関連した計画的意図的な学習」に取り組みました。
しかしその結果、定期テストの国語の成績が、漢字の読み書き問題を中心に著しく下がったと聞いたことがあります。
実は、他府県では漢字の書き取りを多くのメーカーで取り扱っている「漢字練習帳」(名称はメーカー毎に異なります)や大学ノートを使って書かせていたのです。
日本全国で売られている漢字練習帳
しかし、その報道はほとんどなされていませんでした。
そして長野県では「白文帳」を「宿題としての毎日漢字書き取り」の意味で使っていました。
マスコミは漢字練習帳の珍しい名前として「白文帳」を意図的に面白おかしく報道していたのです。
マスコミは、他府県の中学生に「白文帳を知っていますか」とは聞いても「漢字練習をやってますか」とは絶対に聞きませんでした。
そのため、「『白文帳』という珍しい漢字練習帳を使っている」という報道が、
いつのまにか「漢字練習を宿題として出すことの善悪」にすり替わっていってしまったのです。
日本全国で売られている漢字練習帳
しかし、その報道はほとんどなされていませんでした。
そして長野県では「白文帳」を「宿題としての毎日漢字書き取り」の意味で使っていました。
マスコミは漢字練習帳の珍しい名前として「白文帳」を意図的に面白おかしく報道していたのです。
マスコミは、他府県の中学生に「白文帳を知っていますか」とは聞いても「漢字練習をやってますか」とは絶対に聞きませんでした。
そのため、「『白文帳』という珍しい漢字練習帳を使っている」という報道が、
いつのまにか「漢字練習を宿題として出すことの善悪」にすり替わっていってしまったのです。
白文帳で漢字練習をやらせることも、筆算で定規を使わせることも、
どちらが正しいかはわかりません。
大切なのは、わたしたちが自分の頭でしっかり考え、納得した上で指導をしているかどうかだと思います。
マスコミや世論に惑わされず、教師自らが考え、判断を下さなくてはいけません。
そうでなければ、子ども達に「自分の頭で考えよう」などと教えることはできないと思います。