十種神宝 中学国語の基礎・基本

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指導案の書き方……決まった書き方なんかはないんだよ

 「指導案」というと、何か特別に構えて書かなくてはならないもの、というような感じがします。
 かつての教育実習がトラウマになっている、という方もいらっしゃるかもしれません。

 指導案の書式は、各教育委員会や研究会によってさまざまです。

 つまり、「この書き方が正しい」という書き方などは、存在しないのです。

 ですから、「指導案を書く」といっても、そんなにゴタイソウなことではありません。

 昔の先生達はどんな指導案を書いていたのでしょう。

 

 A5位の横長の小さな手帳を国立国会図書館(だったと思う…)で見たことがあります。

 明治時代の「読み方」(今の「国語」にあたります)の指導案です。

 ここには、日付と時間とが一行目に書かれ、二行目には、「一 よむ/二 とく/三 よむ/四 かく/五 よむ/六 とく/七 よむ」と書かれています。

 書いてあることはこれだけです。
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 書いた人は芦田恵之助
 知っている人なら知っている(ってあたりまえか…)明治時代の「大村はま」です。
 (大村はまは現代の芦田…という方が正しいでしょう。)

 子どもの意欲を尊重するという、今は当たり前のことですが当時は画期的な、「随意選題」を提唱し、26年間読み方と綴り方(戦前「国語」なんて教科はありませんでした)の「教壇行脚」をしました。
 国語科なら誰でも知っている大先生です。

 先に述べた「よむ、とく…」というのは、彼の提唱した「七変化の教式(シチヘンカノキョウシキ、と読むそうです)」(教壇行脚の実践を経て確立した、読むことの学習指導過程)の自筆教案(今の「指導案」)です。

 一~三に15分、四に10分、五~七に15分、教室の出入りに5分をあて、つごう45分という按配だったようです。
 なんて単純明快な(豪快な)指導案だと思いませんか?
  
 こんな大先生でなくても、例えば先日国宝に指定された、長野県松本市の「旧開智学校」に残っている指導案(教案)を見てみましょう。
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 今から考えると非常に素朴な(味のある)ものです。

 そして時代が下るに従い、指導案は次第に複雑な(高度な?)ものになり、枚数(ページ数)もふくれあがってきたようです。
 (一時期、厚ければ厚いほど良い、という風潮さえありました。)

 しかし、指導案の本質に変わりはありません。

 指導案の本質とは、「1時間の授業をどうするのか」を、子どもの顔を思い浮かべながら自分で考え出すためと、その授業の流れを自分で確認するため、そしてそれを他人に伝えるためです。

 「この1時間で、子どもにどんな力をつけるのか」「そのために、どういう活動を、どの順番で、どんな時間配分で組み立てていくのか」を考えて教室に向かわない人はいないでしょう。
 そのメモが、指導案の原型なのです。

 年寄りの先生の「最近の先生は、指導案が書けない」という嘆きを耳にすることがあります。

 …そんなことはありません。

 指導案は授業に臨む誰もが持っているものを文字や図表にしただけなのですから。

 形式などにこだわらず、
 1時間の授業の組み立てを整理するつもりで、気楽に指導案を書きましょう。


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