十種神宝 中学国語の基礎・基本

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ブラックジャックに学べ……授業で一番大切なもの

 毎日の授業で一番大切なものは、何でしょう。

 私たちが授業で教える内容は、
 上は憲法教育基本法から学習指導要領に始まり、
 下は年間カリキュラム・単元展開計画等にきちんと決まっています。

 法規を基本にして組み上げられているので「法規基盤型」と言います。

 そしてその内容がきちんと身に付いたかどうかは、学校自身に説明責任があると考えられるようになってきました。

 結果に対して責任を負うので「成果基盤型」と言います。

 つまり、私たち教員は、上からも下からも決められていることを確実に身につけさせることを生業としているわけです。

 私たちは毎日、毎時間、「こういう子どもたちに、こういう指導をすれば、こうなる。」という信念をもって子どもたちの前に立っているのです。
スキャン_20190109-6©手塚治虫(『ブラックジャック』第6巻/秋田書店) 
 無免許医ブラックジャックは、原因不明の病気の手術をすることになりました。
 どのように手術するか尋ねられたブラックジャックが「脳手術をする」と答えたところ、医者達は驚いて止めようとします。
  • 患者の命を活かすか殺すかカケるとは許せん
と憤慨する医者もいました。
 ブラックジャック
  • あなたがたはいつも患者が治ると保証して治療をしているのですかっ そんな保証のできるものは神しかいないっ ……われわれは神じゃないんだ……」
と叫びます。

 授業も同じです。

 本当にきちんとした結果がでるかどうかは、やってみなければわかりません。
 しかし、失敗するわけにはいきませんから、経験則やら過去の成功例やらをもとに、「きっとこうなるだろう、いや、そうに違いない」と信じて授業に向かっているわけです。

 「こういう子どもたちに、こういう指導をすれば、こうなる」…、この信念が「本時案の主眼」です。
 私は本時案の主眼こそが、授業をする上でなくてはならない肝心な「肝」なのだと考えます。

 ですから「本時案」というのは、この主眼を実際の形にしたものと考えてもいいでしょう。

 そして単元全体について記述した「フル指導案」というのは、
 「どういう子どもなのか、どういう指導をするのか、どういう力を身につけることが期待できるのか」を自分がしっかり持つと同時に、他人にも理解できるように説明したもの、と考えることもできます。

 さきほど、「経験則やら過去の成功例やらをもとに…」と述べました。
 しかし、過去の授業の真似ばかりやっていたのでは、私たちの授業に進歩はありません
 十年一日のような授業をしていたのでは、教師としての誠意を疑われても仕方がないのです。

 そこで「研究授業」では、一歩でも半歩でも授業の技量を前進させるために、「こういう子どもたちに、こういう指導をすれば、こうなるだろう」という、新しい指導法を開発していきます。

 これが研究授業の意味だと思います。

 ですから研究内容は「今までそういう指導法は聞いたことがなくて、多くの人がまねてやってもうまくいく」ものでなくてはならないのです。

 更に、これは新薬の開発のようなもので、普段の授業よりも大きなリスクがともないます。

 まさにブラックジャックですね。

 ですから授業をやる前に「うん、これならうまくいく」と論理的に説明できるものでなくてはなりません。
 ……でも、これは研究主任の先生が考えることです。

 わたしたちはまず、普通の指導案を書けるようになりましょう。